15/1/25 @渋谷WWW ~Candle Flames Tour~TOUR FINAL ONEMAN LIVE
“俺たちのライブは「」こんな感じだから。おもいっきり楽しもーぜ!”
前回のワンマンライブで鮮烈なデビューを飾り、新たな一歩を踏み出したBACKDRAFT SMITHSが、初となる全国ツアーを経て約1 年ぶりに彼らのホームグラウンドである渋谷に帰って来た。
前回ライブを行った渋谷CYCLONE と同じ通りに並ぶ、今回の会場WWW は満員のお客さんで埋め尽くされていた。
暗転したフロアに軽快なBGM が鳴り響く。ステージ上部にBDS SKULL&HAMMER のバックドロップが浮かび上がる。
ライブは、ナリ(ドラム)の4 カウントからボーカル優の声でスタートした。
スポットライトがボーカル優を照らし出す。
左手首に付けられた以前よりも太くなったラバーリストバンドが、パワーアップしたパフォーマンスを期待させる。
オープニングは、今回のツアーのタイトルにもなっている〝Candle Flames〟 前回の〝I Wish〟に続き、イントロが無くボーカルの声から始まる構成は、このバンドの一つの特徴ともいえるのではないだろうか。以前よりも重厚感を増したナリのドラムに小西のベースがドライブする。シンコペーションする祐弥のギターが疾走感を掻き立てる。
すぐさま2曲目の〝We’ll start our race〟に流れ込む。この2曲は、昨年8月に公開された映画『新劇場版「頭文字D」Legend1-覚醒-』の挿入歌にもなっている。
現在のBACKDRAFT SMITHS を象徴するともいえる2曲を披露したところで、「Candle Flamesツアーファイナルにお越しのみなさん、ようこそ!」と優。「今日は最高です。これだけ沢山の人が集まってくれた事をホントに感謝します。今日はガンガンいくんで最後までよろしくお願いします!」
前回、サビでのコーラスのハーモニーが印象的だった〝Selfish〟この日は優が孤高に歌い上げる。
「去年の9月から全国を回り始めたんですが、12月はずっとアルバムのレコーディングをしてたんで、ライブの機会がすごい空いちゃったんですよ。バンドマンっつうのはライブしないでみんなの顔を見ないとどんどん不安になってくるんすよ。今日はもう幸せだよ!」と優。初めての全国ツアーで色々と不安があったが、とにかくおもいっきりライブをしたと語る。
ツアーをする中で新しいバントとの出会いがあったり、沢山のお客さんの笑顔に触れ、「大事なのは全力でやるって事なんだなっていうのを今回のツアーで学ぶ事が出来ました」と今回のツアーを振り返る。
「今日は最高の夜にしたいと思います。最高の夜をここにいる全員で作りたいと思います!みなさん協力してくれっかな?」
「今日は新曲をいっぱい用意してきました! “Cornflakes”」とコールし、イントロのリズムに合わせ跳躍しながら笑顔で演奏する優。
全身でライブを楽しんでいるという感じが伝わってくる。
〝Cornflakes〟は、とある日常の朝の風景が浮かんでくるような爽やかな曲だ。
サビで小西のコーラスが加わり爽快感が増す。
「まだまだ新曲いきます!」と続く新曲〝カムパネルラ〟はパンキッシュ且つメロディアスな曲で、優のエモーショナルなボーカルに会場のボルテージも上がる。
ここまでの5曲を聴いて気付いたのだが、BACKDRAFT SMITHS の楽曲は“B メロが無い”。
所謂Verse とChorus(サビ)の2部構成で作られているのだが、Verse で引っ張らず早々にサビを聴かせる纏まりの良さと潔さに何となく心地良さを感じた。
熱帯低気圧が過ぎ去り、暗転したフロアが静まり返る。
「みんな、この静かなチューニングの間どうしていいかわかんないよね?」と徐に話し始める小西。
「そういうときにやること、一つだけ教えておきます。そういうときは、隣にいる人に小声で(でもちょっとこっちに聞こえるように)、『あのベースの人かっこよくない?』って、それで大丈夫です」と黄色い声を欲しがるリーダー小西。
優のツッコミも入ったところで、再び優のMC に戻る。
「今、俺たちはバンド活動というものをしています。みなさんも各々の自分の人生という旅を必死で頑張っていると思うんですけど、もしも、今の俺たちが答えの無い旅の途中にいるとするならば、その旅はこの曲から始まりました。 “I Wish”」
BACKDRAFT SMITHS がメジャーデビューするきっかけになった曲。答えの無い旅へ駆け出した彼らの門出に相応しい晴れやかなナンバーに続き〝Planetary Nebula〟は、ファーストシングル〝I Wish〟のカップリングになっているミディアムパラード。
打ち込み系のループの中を祐弥のアルペジオが潜り抜けていく。
しっとりしたVerse とその先に待つ激情的なサビの間をノスタルジックなB メロが繋ぐ。
この曲もライブでは定番となっている。しっとりしたバラードの余韻に浸り暗転したフロアは再び静寂に包まれる。
「こういう時ね。使うやつ、さっき言ったやつね」「全然一言も聞こえてこなかったけど…大丈夫?」と再び小西(笑聲)
ここで、今回のツアーで行動を共にし垣間見たバンドメンバーの生態の話題になり会場は和やかムードに。
「あのね、俺たちのライブは「」こんな感じだから」と高らかにピースサインをする優。「おもいっきり楽しもーぜ!」
〝Infinity〟〝The Brave〟とラウドなナンバーが続く。〝The Brave〟は、以前〝SAMURAI〟というタイトルでやっていた変拍子の曲。
昨年に引き続き 今年5月に公開される『新劇場版「頭文字D」Legend2-闘走-』の挿入歌として決定している。
「じゃあ、今日は祐弥と二人で始めよっか?」と祐弥のアルペジオに乗せて優が歌う〝Dance our waltz〟 途中、ナリのハイハットのカウントからバンドがカットインする。楽しさと切なさが入り交じった曲である。
優:「この瞬間を精一杯生きたらさ、なんか明日は笑ってくれるんじゃねーかな?」
今回のツアーで「初めて聴いた曲、初めて観る俺たちのライブで本当に心から喜んでくれる人がいるんだ」ということを実感し、「大事なことは、その瞬間を精一杯楽しむこと、おもいっきり生きる事」というのをライブで出会ったお客さんから教えてもらったと語る。
「今日はそんな想いも込めて、まだ荒削りかもしれないんだけど新曲用意してきました!」
「この曲でここにいる全員が幸せっていう気持ちを一緒に共有できたら嬉しいです」
そう伝えると、静かに曲のイントロに入り、バンドが8 分音符の刻みに歩調を合わせる。悲しみの後に訪れる静かな夜明け。霧の中に朝陽が優しく差し込んでくる。そんな情景が浮かぶ。そっと語りかけるようなVerse、優しくも力強いサビのメロディー。曲の終盤に差し掛かると、優がサビのメロディーをラララで唄い始める。
「ここでみんなにお願いがあるんだけどさ、一緒に歌いません? みんなの声聴かせて」優とバンドメンバーの声に導かれ、手拍子とともに全員が合唱する。この曲で会場全体が一つになった。
「さぁみんなまだまだ行くぞ! 行けるかー」〝Knock On The Door〟〝Rascal〟と疾走感全開のナンバーを連発し、ライブは終盤の盛り上がりをみせる。沢山のお客さんがピースサインを送る。
本編ラストの曲の前に再び優がMC を挟む。「くよくよと考えてしまう事があるかもしれない…けど、やるしかねーんだ…」前回のワンマンライブの時と同様にまた何故か話が暗い方向へと発展していく。。
「なんかつらいことあった優? 真面目なトークがすっごい暗いよね」と透かさず小西が割って入る。
「もう行こ、最後」と煽るが、「いや、だってさー」と話そうとする優にナリがドラムで一喝。
お客さんも皆最後の曲に行く準備は出来ている模様。みんなから促されるようにして「ゴメン、もう出来上がってたな。行こーぜ!“サンフラワー”」とコールしラストの曲へ。
丁度この日にリリースとなったBACKDRAFT SMITHS のセカンドシングル〝サンフラワー〟 何かに躓いたときそっと手を差し伸べて導いてくれるハートフルソング。会場中にピースの花が咲き乱れる。
アンコールでは、バンドとして初めて楽曲提供したアーティスト、荒木宏文が特別ゲストで登場し、彼のソロデビュー曲〝Next Stage〟を初披露。この曲は、先程本編で演奏された〝Rascal〟という曲に荒木が新たに作詞をして作られた楽曲である。ゲストとのコラボレーションで会場はヒートアップする。
小西:「今までツアーファイナルだーってカッコ付けた言い方してましたけど、全然俺たちなんてまだまだ新人の駆け出しのバンドでそんなたいしたもんじゃないです…」「この曲が終わったら俺たちはステップアップするためにまた修行に出ます。次に帰ってくる時はカッコ付けてツアーファイナルだって言えるようになって帰ってきます。今日は本当にありがとうございました!」
優:「俺たちはこの曲から始まったからさ、最後もこの曲やりたいと思います。最高の笑顔をみんなで見せてください!“I Wish”」 ラストは会場全員のピースサインで最高の盛り上がりをみせ、ツアーファイナルのエンディングを飾った。
今回初となる全国ツアーを経験し、バンドとして一回り成長したBACKDRAFT SMITHS。5月20日にはファーストアルバム『Static Chronicle』をリリースし、また、再び全国ツアーへと旅立つ。次に会う時はまたどんなライブを観させてくれるか楽しみである。
彼らの伝説はここから始まる…
TEXT: Sei Takagami
– SET LIST –
01. Candle Flames
02. We’ll start our race
03. Selfish
04. Cornflakes
05. カムパネルラ
06. I Wish
07. Planetary Nebula
08. Infinity
09. The Brave
10. Dance our waltz
11. 新曲
12. Knock On The Door
13. Rascal
14. サンフラワー
(Encore)
15. Next Stage (Special Guest : 荒木宏文)
16. I Wish